平尾 安幸さん 特別寄稿 平成21年度「秋の叙勲」を頂いて
この度松寿会会員の平尾 安幸さんが秋の叙勲で「旭日双光章」を受章されました。34年の永きにわたる里親活動に対するご努力に対しての栄誉であります。受章を機に平尾さんからご寄稿を頂きましたのでご紹介します。
勲記と勲章を前にされた平尾さんご夫妻 勲章を胸にし天皇陛下に拝謁の栄誉を!
9月末、岐阜県を経由して内閣府賞勲局から秋の叙勲の候補者であることを内示され10月閣議決定の後、11月3日発令、11月4日岐阜県庁で伝達式があり古田知事から直接勲記と勲章(旭日双光章)を頂きました

ついで11月11日厚生労働省の案内で皇居豊明殿春秋の間で天皇陛下に拝謁し祝賀のお言葉をいただきました。今年はご成婚50周年、天皇ご在位20周年という記念の年でこの時に叙勲を頂く幸せをしみじみ実感しました。
私にとってこのような栄誉は分限を超えた出来事と思い内示を受けた時如何するかと考えましたが、今年は私も77歳の喜寿を迎えた身にとって有難いお褒めのしるしと考え頂くことにしました。

顧みますと昭和50年岐阜県の登録里親として家庭や家族に恵まれない子供たちを迎え起居を共にし養護施設や困難な事情を抱えたこれまでの生活とは違う「家庭と家族」の生活を体験してこの子たちが自立して社会人になったとき活かしてほしいとの願いを込めて頑張ってきました。
あれからもう34年になりますがいま思えば我が家に来た子供たちに私たち夫婦が教えられた事のあまりの多さに驚きを覚えます。
30年前と今では子供を取り巻く社会環境がまったく違います。現代社会は子供たちにとってあまりにも理不尽な世の中になっています。児童福祉法の60年ぶりの改正や養護施設の拡充整備、里親制度の充実など、子供を守る様々な法律や制度、政策が出来ましたがこれとは裏腹に家庭で暮らせない子供が激増しています。昨年の厚労省の調査では全国に500以上ある養護施設で暮らす子供が4万1千名を超えすべての施設で定員を超過する状態です。
入所する理由も昔とは異なり身勝手な親による養育放棄や虐待が増えています。さらに子供の側からの理由として不登校や学校でのいじめと非行など家庭教育の崩壊が主因として問題視されています。
このような状況の対策として里親制度は極めて効果が高く子育てに不適切な家庭や家庭と家族を具現化できない施設で暮らす子供の親代わりを務める里親制度の普及が急務です。

松下精工を定年退職して以来、15年間、岐阜県里親連合会の会長や理事、岐阜県児童審議会委員や登録里親審査部会など真剣に活動してきた思いはありますがこれという成果を挙げ得ずただ、長く里親活動に関与した結果で評価され叙勲の栄誉に浴することは誠に汗顔の至りと思っていますが今後はこれを機会に一層、里親制度の普及と拡充に努力する所存でおります。
      
           平成21年11月12日
        平尾 安幸
 松寿会春日井支部として、誠に喜ばしいことと、僅かで
 はありますがご夫妻に「志」をお渡ししました。

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